はじめに
天井に雨染みができると、「スレート屋根のひび割れが原因では」と心配になる方も多いでしょう。
しかし、屋根材が割れていても、下の防水シートが正常なら、すぐに室内まで雨水が届くとは限りません。
反対に、屋根材がきれいでも、棟板金や防水シート、外壁との境目から雨漏りすることがあります。
この記事では、屋根の種類を整理したうえで、スレート屋根の主な雨漏り原因と修理方法を解説します。
まずは屋根の種類を確認しよう
戸建住宅に使われる主な屋根材は、次の4種類です。

スレート屋根とは
スレート屋根は、薄い板状の屋根材を重ねて施工する屋根です。「化粧スレート」「コロニアル」「カラーベスト」と呼ばれることもあります。
一般的な構造は、外側から次の順番です。

雨水を最初に受けるのはスレートですが、屋根材の下へ入った水を防ぐのは防水シートです。そのため、雨漏りを調べる際は表面だけでなく、内部の状態も確認する必要があります。
スレート屋根から雨漏りする7つの原因
①スレートのひび割れ・欠け
スレートは薄いため、経年劣化や飛来物、作業時の踏み割れなどで破損することがあります。
確認したい症状は次のとおりです。
・縦方向にひびが入っている
・角が欠けている
・一部が抜け落ちている
・過去の補修材が剥がれている
・複数枚に割れが広がっている
一枚のひび割れだけで、必ず雨漏りするわけではありません。ただし、防水シートへ届く水が増えるため、放置すると内部の劣化につながる可能性があります。
②スレートが反っている
スレートは水分の吸収と乾燥を繰り返すことで、先端が反る場合があります。
反りが進むと重なり部分のすき間が広がり、横殴りの雨が入りやすくなります。
- 屋根材の先端が浮いている
- 屋根面が波打って見える
- 反った部分にコケがたまっている
- 複数枚が持ち上がっている
反った屋根材は、塗装しても平らには戻りません。一部なら差し替え、広範囲ならカバー工法や葺き替えが検討されます。
③棟板金が浮いている
棟板金は、屋根の頂上を覆う金属部材です。
固定している釘やビスが抜けたり、その下の貫板が腐食したりすると、板金が浮くことがあります。
・釘が外へ出ている
・板金の端が持ち上がっている
・継ぎ目が開いている
・板金が波打っている
・強風時に金属音がする
浮いた部分へ風が入り込むと、棟板金が飛散するおそれがあります。すき間から入った水が貫板や防水シートを傷めることもあるため、早めに点検しましょう。
④防水シートが劣化している
スレートの下には、雨水を室内へ届かせないための防水シートがあります。
劣化すると、次の部分から水が通りやすくなります。
- シートの破れ
- 継ぎ目の開き
- 釘穴の広がり
- 棟や谷まわり
- 太陽光パネルなどの固定部分
防水シートは屋根材の下に隠れているため、屋根塗装では直せません。室内や屋根裏に水跡がある場合は、屋根材を含めた内部点検が必要です。
⑤谷板金が傷んでいる
屋根面が内側で合わさり、雨水が集まる場所を「谷」と呼びます。
谷板金にサビや穴、継ぎ目のズレがあると、雨漏りしやすくなります。
落ち葉や泥がたまり、排水を妨げているケースもあります。穴が開いている場合は、周囲のスレートを外して谷板金を交換します。
⑥屋根と外壁の境目に不具合がある
下屋と外壁が接する場所には、雨押さえ板金や防水シートが施工されています。
次の不具合があると、壁の内部へ水が入り込む場合があります。
- 板金の浮きやズレ
- 継ぎ目の開き
- シーリングの劣化
- 防水シートの立ち上がり不足
天井のシミが壁際にある場合は、スレートだけでなく外壁との境目も調べましょう。
⑦塗装で重なり部分がふさがれている
スレート屋根には、内部へ入った水を排出するためのすき間があります。
塗装で重なり部分がふさがれると、水が内部にたまる可能性があります。この状態を防ぐ作業が「縁切り」です。
塗装後から雨漏りが始まった場合は、屋根材の重なり部分が塗膜でふさがれていないか確認します。

雨漏り原因のチェックリスト
当てはまる項目を確認してください。
0 / 10 項目に該当
経過を記録する
雨漏りがなく、軽い色あせだけであれば、すぐに大規模な工事が必要とは限りません。
雨の日の変化を記録し、定期点検で確認しましょう。
天井から水が落ちている、照明器具の近くが濡れている場合は、項目数に関係なく早めの対応が必要です。
スレート屋根を確認する3ステップ
雨漏りが起きた日時、雨の強さ、風向き、水が出た場所を記録します。写真や動画も残しておくと、調査の手がかりになります。
屋外は地上から見える範囲にとどめてください。
屋根裏では、次の症状を確認します。
・木材の黒い水跡
・濡れた断熱材
・釘や金具のサビ
・カビ臭さ
・防水シートからの水滴
スレートは踏むと割れる可能性があり、転落も危険です。自分で屋根へ上がるのは避けましょう。
目視だけで原因がわからない場合は、疑わしい場所へ順番に水をかけて雨漏りを再現します。
棟板金、谷板金、スレートの割れ、外壁との境目などを分けて調べることで、原因箇所を絞り込みます。
スレート屋根の修理方法
| 状態 | 主な修理 |
|---|---|
| 一部のひび割れ・欠け | 補強、差し替え |
| 棟板金の浮き | 固定、貫板・棟板金交換 |
| 谷板金のサビ・穴 | 谷板金交換 |
| 防水シートの部分破損 | 屋根材を外して補修 |
| 屋根材の広範囲な劣化 | カバー工法 |
| 下地まで腐食している | 葺き替え |
部分補修
破損が一部に限られ、防水シートや下地が健全であれば、補修や差し替えで対応できる場合があります。
ただし、同じ屋根材が廃番になっていると、差し替えが難しいこともあります。
カバー工法
既存のスレートを残し、その上へ新しい防水シートと屋根材を重ねる工事です。
撤去量を抑えられますが、下地が大きく腐食している屋根には向きません。
葺き替え
既存のスレートを撤去し、防水シートや傷んだ下地を交換する方法です。
雨漏りが長期間続いている、割れや反りが広範囲にある、部分修理後も再発している場合に検討されます。

屋根塗装で雨漏りは直る?
屋根塗装は、スレート表面を紫外線や雨風から保護する工事です。
色あせ、塗膜の薄れ、コケなどには有効ですが、次の不具合は直せません。
・大きなひび割れ
・屋根材の反り
・棟板金の浮き
・谷板金の穴
・防水シートの破れ
・下地の腐食
雨漏りしている場合は、先に原因を調べて必要な修理を行い、その後に塗装の必要性を判断します。
古いスレート屋根は石綿の確認も必要

古い住宅用スレートには、製品や製造時期によって石綿が含まれている場合があります。
通常の生活で直ちに問題になるという意味ではありませんが、撤去や切断を伴う工事では、事前調査と適切な処分が必要です。
見積書では次の項目を確認しましょう。
- 石綿含有の事前調査
- 撤去方法
- 飛散防止対策
- 廃材処分費
- 調査費用の内訳
自分で行わないほうがよい応急処置
・屋根へ上がって割れを探す
・スレートを踏んで歩く
・屋根材を持ち上げる
・すき間をすべてシーリング材で埋める
・大量の水をかける
・棟板金の釘を打ち直す
・古い屋根材を切る、割る
・雨の日に脚立やはしごを使う
室内では、家具や家電を濡れた場所から移動し、タオルや容器で水を受ける程度にとどめてください。
修理業者を選ぶポイント

・ひび割れだけで原因を決めつけない
・屋根裏まで確認する
・棟、谷、外壁との境目も調べる
・写真で劣化箇所を説明する
・塗装と雨漏り修理を分けて提案する
・部分補修、カバー工法、葺き替えを比較する
・石綿調査について説明できる
・見積書の工事範囲が明確
・契約を急がせない
スレート屋根の雨漏りに関するよくある質問
- スレートが一枚割れたら必ず雨漏りしますか?
-
必ずしも雨漏りするとは限りません。防水シートが正常なら、すぐに室内へ届かないことがあります。ただし、放置せず補修しましょう。
- ひび割れはシーリング材で直せますか?
-
小さなヒビなら補強できる場合があります。割れが大きい、複数枚が傷んでいる場合は、差し替えなどが必要です。
- スレート屋根の雨漏りは塗装で直りますか?
-
割れ、板金、防水シートなどが原因の場合、塗装だけでは直りません。原因箇所の修理を先に行います。
- 棟板金だけ交換すれば止まりますか?
-
原因が棟板金だけなら改善が期待できます。防水シートや別の部位も傷んでいる場合は、追加修理が必要です。
- カバー工法と葺き替えはどちらがよいですか?
-
下地が健全ならカバー工法、下地や防水シートまで広く傷んでいる場合は葺き替えが検討されます。
- 自分で屋根を点検できますか?
-
地上や屋根裏から見える範囲にとどめてください。屋根へ上がると、転落や踏み割れのおそれがあります。
- 強い雨の後だけ濡れるのはなぜですか?
-
横殴りの雨が、普段は濡れにくい重なり部分や板金のすき間へ入り込むためです。風向きや雨量も記録しておきましょう。
まとめ|スレート屋根は内部まで確認しよう
スレート屋根の雨漏りは、屋根材のひび割れだけでなく、反り、棟板金、防水シート、谷板金、外壁との境目などから起こります。
表面がきれいでも、内部で劣化が進んでいる場合があります。反対に、一枚のひび割れだけで屋根全体の工事が必要になるとは限りません。
雨漏り修理相談センターでは、スレートの表面だけでなく、板金、防水シート、下地、屋根裏の水跡まで確認し、状態に合った修理方法をご案内します。
天井のシミが広がっている、強い雨でだけ漏れる、塗装後に雨漏りが始まった、部分修理後も再発している場合は、工事を決める前に原因調査からご相談ください。

